「今日もお疲れ!」 相棒たちそれぞれの頭を撫でてやる。夕食後、いつも以上にバトルの特訓に励んだためか、時刻をみるともう日付が変わるころだった。 こんなに遅くなるとは思ってなかったな、と思いつつ、寝る準備をする。近くにポケモンセンターはなく、今日は野宿だ。 レポートを書き込んで、そういえば、と思いだした。 (明日、旅に出てから初めてのオレの誕生日だ) 久しぶりにフタバタウンに戻って、家族と過ごすのもいいかもしれない。しかし、もう夜も遅い。陽が昇ってから一度家に帰ろう。そう思い、テントにもぐりこんだ。 ああ、それとコウキはどうしてるかな。毎年オレの誕生日にはいつだっておめでとう、とプレゼントをくれた。だが、現在はお互いにポケモンマスターを目指してバトルの腕を磨く日々。 向こうはその忙しさで忘れているかもしれない。 少し寂しさを感じながらも、今は切磋琢磨して強くなることが目標だからと自分に言い聞かせた。 (……もし、覚えてくれていても、) オレがどこにいるかはすぐにはわからないだろうし。会えたらいいとは思うものの、連絡の手だてもない。ジョウト地方ではポケギアという機械に、電話機能があるらしい。それがあれば、いつどこにいたってコウキと話ができるのに。会いたいと思えばそれを伝えられるのに。薄い毛布の中で縮こまる。 ……やっぱりさ、顔見たいよ、コウキ。思わず口をついて出ていた。 言葉にすると、一層寂しさが増したようで、目頭が熱くなった。こんなのただのわがままだ。はやく寝てしまおう。ぎゅっと目を瞑る。まぶたの裏に幼なじみの笑顔が浮かんだ。朝起きればきっと、この寂しさも消えているだろう。 どこか遠く、ムクホークの鳴き声が聞こえた気がした。
夜を飛び越え |